キスから始まるセカンドラブ
兄貴の彼女
結局、帰って来てしまった。思えばここも私がかなり気に入った物件だったんだよね。

休みの日を合わせて待ち合わせ場所で会った智人さんはいつもより優しい感じがした。



「とりあえず希望とかあるのか?」



迎えに来てくれた車に乗せてもらってそんなことを尋ねられたから最初は動揺した。智人さんが私に何かを尋ねてくるなんてことなかったから。



今、思えばその声は明らかに智人さんのものとは違った。優しくて甘い声。



でも、フィルターがかかっていたんだ。恋人という盲目のフィルター。
< 94 / 164 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop