白石岬が、
ゆっくりと近付いてくる。


床を踏む音が響く静寂。
彼のすべてから冷えた怒気が発せられていた。


静かな怒り。
岬先輩が厚めの唇を開く。


「うちの女バスは名門だったが、不祥事の後で編入の手配をしてもらえたのは何人だと思う?」


「え?」


「たった3人だぜ。
2年と1年からひとりずつ、後はバスケ推薦の新入生。他の50人近くいた部員は全員、バスケを辞めた。学校を辞めたヤツもいる。
………わかったか?おまえの待遇がいかに優待か」


知らなかったことだった。
確かに部員全員が転校できたわけではないと思っていたけど……。


「俺とキャプテンの宮田はおまえをやっかみや好奇の目から守るように学校側から言われてた。だからおまえは男子と同じ練習をこなす必要があった。キツくても理不尽でも。こっちが引くくらい真面目にこなされたけどな」

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先輩後輩  バスケ部  純愛  切ない  愛憎  青春 

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