あたしのトナカイくん
トナカイとサンタ
2月14日。

数日間寝込んだあたしが、結局次にバイトに行けたのは、バレンタインデーその日で。

偶然日曜日だったこの日、ようやく戸波くんに告白の返事をしようと、前の晩に手作りしたチョコを大事にかばんの中にしまい込み。あたしはドキドキしながら、バイト先に出勤した。


……だけど。



「と、戸波くん、あの……っ」

「あ、三多さん。清掃の方が手一杯らしいんで、俺ちょっと手伝ってきます。悪いけどここお願いします」

「……あ、うん、……わかった」



今日は運良く、あたしと戸波くんは、上がりが同じ時間で。

それに小さくガッツポーズしたのもつかの間、なんだか今日の戸波くんの態度が、妙によそよそしい感じがするのだ。

……バイトの後、ちょっと時間もらえる?って、訊きたいのに。

タイミングを掴めないまま、結局、バイト終了まで残り15分、という時間になってしまった。
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