秘書課に異動してから一ヶ月がたった。

千鶴の朝の仕事は課の全員のお茶の準備から始まる。

経理課にいた時は各自が自分のを準備していたのだが、華子にいたっては「私お茶などいれたことございません」と秘書をしている人のセリフとは到底思えない発言をし、艶香は「爪がはげたら責任とってくれるの?ん?」と給湯室に入ること自体を拒否した。
頼みの綱の園美に期待したのだが、急須にマグカップ最後にはコーヒーサーバーまですべて壊すという“のっぴきならない事態”を引き起こしたので総務課から「備品を大事に使うように」とくぎを刺された。

よって給湯室関連はもっぱら千鶴の仕事になった。

今までいったいどうやって過ごしてきてたのか不思議に思ったが、今更何を言っても千鶴がお茶をいれるのには変わりがないのだから、深くは追及しないことにした。

「え~と、三島さんはダージリンで後藤さんはローズヒップ、園美ちゃんはココア」

全員が全員違うメニュー。最初は「ドリンクバーみたい」などと思っていた千鶴だが一ヶ月もしたら慣れたものだ。

トレイに三人分プラス自分と勇矢のコーヒーをのせて秘書課へと戻った。

「おはようございます」

いつも通り声をかけてお茶を配ろうとすると千鶴の席に宗治が座っていた。

(朝から面倒なこと言いださないといいけど)

嫌な予感を感じながら、勇矢から順番に配り終える。

宗治は華子たちとなにやら世間話をしているようすで「うふふ」とか「やだぁ」と言う声が聞こえる。

千鶴は自分のマグカップをデスクに置き「常務のもすぐ準備します」と告げてその場を去ろうとしたが腕をぎゅっと掴まれて「これ飲むからいい」と千鶴の赤地に白の水玉のマグカップを指して言った。

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