ヴァージン=ロード

「……猫だと思うんだ」
「え」

 白木さんの言葉の意味が分からず、私は間抜けな声を出した。白木さんは顎に手を置いて、うんと頷く。

「さっきも言っていたけど、人がいるとメインになってしまう。花園さんもお墨付きのISAKIさんなら、何でもできてしまうと思う。今、まじまじ見ていて思ったけど、ISAKIさんには猫になってもらいたい」
「面白いですね、それ」

 そこに、第三の声が入ってきた。入口で微笑みを浮かべて立っている女性が一人。眩い金髪と珍しい紫の瞳を持つ女性。モデルと見紛うばかりの美貌は、伝説とまで呼ばれた元モデルのお母様譲りらしい。

「カノンさん!」
「ISAKIちゃん、久しぶり」
「お久しぶりです!」

 尻尾があれば振りまくっていただろう。

「遅れてごめんなさい。白木さん、ISAKIちゃん、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします。お話を受けていただいてありがとうございました」

 白木さんとカノンさんが握手をして、カノンさんが席についた。
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