シェリー ~イケない恋だと、わかっていても~
危険なスキー旅行
「スキー旅行?」
「うん。梨江子に誘われたの。行っても、イイかな?」


その日の夜、普通通りに帰宅してきた、けいちゃんにさっそく話してみた。


「2人で行くのか?」
「ううん。匠哉さんと、匠哉さんのお友達も行くって」
「ソイツは、男なのか?」


けいちゃんの顔付きが急に変わった。わたしのことを、睨みつけるように。


「うん、男性だけど部屋も二部屋取るし、わたし梨江子と一緒にしてもらうし、スキーも梨江子に教えてもらう」


そう言ったけど、部屋の数なんて聞いてないし、梨江子と同じ部屋になるのかさえ知らない。


スキーだって、もちろん梨江子に教わりたいけど、せっかくの旅行だ。


それに梨江子と匠哉さんを2人きりに、させてあげたいってのも本音だ。


「じゃぁ、金はどうすんだ?まさか俺の金で行くんじゃないよな?」
「あ……」


そっか。大事なことを忘れてた。なに軽い気持ちで、行くようなこと言っちゃったんだろう。


「じゃ、じゃぁ。貸してほしい……。帰ってきたら、パート探して、」
「ダメだ」
「えっ、どうして、」
「彩月には、外に出てもらいたくないんだよ。家のこと疎かになるだろ」


どうして、そうやって決めつけるの?わたしが家のこと疎かになるのが、けいちゃんには見えてるの?


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