冷たい上司の秘密の誘惑
4.「傍にいてくれ」
三谷先輩と私は、企画部に異動。

それと同時に湧いてきた噂が一つ。

『三谷と久保は付き合ってる』

そんな事は絶対にないのに、噂と言うものは本当に怖い。

私たちが廊下を歩いているだけで、ヒソヒソと噂される。


違う、そう叫んでやりたい。


「・・・なんか悪かったな」

「…どうしたんですか急に?」

遅くまで仕事をしてる最中、三谷先輩がそんなことを言い出した。


「付き合ってるわけでもないのに、噂がさ」

そう言って少し笑って、溜息をついた三谷先輩。


「そんな、三谷先輩は何も悪くないじゃないですか?

悪いのは勝手に誤解して噂してる周りの人たちですよ」

私は必死に三谷先輩に言う。

…ポンポン。

そんな私の頭を、三谷先輩は優しく叩いた。

「無理しちゃって」

「・・・」

キョトンとする私に、三谷先輩は微笑んだ。


「好きな奴に、誤解させていいの?」

「・・・え?」


「ま、オレとしては、誤解させておいた方がいいんだけどね」

「三谷先輩何言って?」
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