極上エリートの甘美な溺愛

高校時代、将平が玲華の告白を拒み、友達のまま卒業した二人はそれ以来会うことはなかった。

何度か案内が届いた同窓会にも顔を出さない一方で、将平がどうしているのかと、気にならないわけでもなかったけれど。

将平に会ってしまえば、高校時代の気持ちがぶり返してしまうんじゃないかと怖かったのも確かだ。

そしてその不安は夕べ見事に的中した。

お互いの近況報告をサラリとした程度の会話に終始しただけ。

距離を近づけたことと言えば、二人のスマホにお互いの連絡先が登録されたことくらい。

この先どうなるという話なんてまるでなかった。

「格好いいんだもん、相変わらず」

投げやりな口調でそう呟くと、玲華は迷いを吹っ切るかのようにマウスを持つ手に力を込めた。

そして、パソコンの画面に検索画面を呼び出した。

検索ワードとして入力したのは『亜紀自動車』。

その文字を見た瞬間、『どうしよう』と迷う気持ちが確かに生まれたが、その迷い以上に将平に近づきたい気持ちの方が強い。

HPの中に入り、欲しい情報を探した。

ふと時計を見ると、もう少しでお昼休みだ。

いつもなら沙耶香と香里と一緒に昼食をとるのだが、玲華はきゅっと唇を結び、気持ちを決めて、二人にメールを入れた。

『用事ができたから、外で食べてくる』

その用事がなんであるか、察しがいい二人にはすぐにばれてしまうかもしれないと苦笑しつつ。

玲華は送信ボタンをタップして席を立つと、気持ちを強くするように深呼吸をした。




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