極上エリートの甘美な溺愛

カウンターの向こうでは、シェフたちが忙しそうに動いているのが見え、時折将平と玲華に向けてからかうような視線を投げる男性がいた。

「あの人が店長のワタルさん。忙しそうだから、後で声かけるよ」

「うん。二次会で使わせてもらうお礼も伝えなくちゃいけないしね」

「それは済ませてるから大丈夫。どちらかといえば、玲華に興味津々のワタルさんの方が挨拶に来そうで怖いけど」

ははっと笑い声をあげる将平に、玲華は照れくさそうに俯いた。

「私なんて、興味持ってもらうほどの人でもないんだけど……」

「そんなことない。再会してからずっと、俺は玲華が気になって仕方がないし」

高校時代よりも、自分の感情を素直に顔に出したり言葉に表す玲華に驚きながらも、いきいきと視線を動かす様子から目が離せない。

穏やかで優しげな雰囲気はそのまま残っているが、将平が知っていた玲華よりも魅力は増し、どこか自信も感じられる。

自分が玲華と離れていた時間は、彼女を女性として成長させた貴重な時間だったんだと、実感した。

「俺がいない間に何があったのかを考えるとむかつくけど、高校時代の玲華よりも、今の玲華は格段に綺麗だ」

「そ、そんなことを……」

サラリと甘い言葉を言ってのける将平に、玲華は言葉を返せず口ごもった。

もともと整っている見た目がさらに魅力を増したのは将平の方だというのに、そんなことに全く気付いていないのか、将平の表情は至極まじめなものだ。

俯きながらもチラリと視線を向けると、何の戸惑いもなく自分を見つめる将平の視線が絡み合う。


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