Sweet Room~貴方との時間~【完結】
エステよりハグ
 一人暮らしなのに、なんでこんなに荷物があるんだろう。そのうえ、要る物より要らない物の方が多い。友達にあげられる物はあげて、寄付する物、処分する物と分けることでかなりの荷物が減った。くだらない物を買わないと決めていても、なかなか上手くいかない。そして、また引っ越しする時に同じような苦労をするんだろう。

 ゴールデンウィーク前の私の部屋にはダンボール箱が積み上げられ、必要最低限の物しかない。必要なものだけで生活をしてみると、意外に不便がなかった。引っ越し先では敢えて開けないダンボール箱があってもいいかもしれない。
 梱包が終わり、固まった肩を伸ばしてからキッチンへ行った。

「明日のお弁当は何にしようかな」
 杉山には返事が出るまでお弁当を作らなくていいと言われたけれど、私はその言葉を無視して作っている。急にお弁当を作るのをやめれば、松下さんや社長に変に勘ぐらえれてしまうし、わざわざ短期間だけ作らないのもあれだし、現状維持をしている。
 あの告白の後、普通にお弁当を持っていったとき、杉山は複雑な顔をしていた。


 ゴールデンウィーク初日、社会人になってからずっと住んでいたアパートを引っ越した。そして連休を全て使って、荷物を全部片付ることに成功。ゴールデンウィーク最終日の夜にはベッドの上に立って、新しい部屋を眺めていた。
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