過保護な妖執事と同居しています!


 やっぱりザクロは人の心が今ひとつ理解できていないらしい。さっきから告白してるようなもんだよ?

 私が苛つくのは、私の心の状態を知っているくせに、嬉しくて私の胸がきゅんと締め付けられている意味をザクロがちっとも理解していないからだ。

 私の気持ちは清司の方が察しているらしい。少し呆れたように尋ねる。


「おいザクロ、本当にいいのか?」


 ちらりと私を見て逡巡した後、ザクロは目を逸らしてつぶやいた。


「……お願いします」


 それを受けて、清司は面倒くさそうに大きくため息をつく。そして広げた手のひらを天に向かって真っ直ぐに突き上げた。

 いつもの気怠げな表情が消え、真剣な眼差しで天を振り仰ぐ。


「水蛇(みずち)!」


 清司の声に呼応するかのように雷鳴が轟いた。先ほどまで穏やかに晴れていた空を、瞬く間に暗雲が覆い隠す。

 元々樹木に囲まれて薄暗かった境内はさらに暗くなってきた。薄闇の中で白い光を放つ結界がやけに眩しい。

 空に広がった暗雲は、清司の頭上で徐々に厚みを増しながら、ゆっくりと渦を巻き始めた。渦の中で稲妻が走り、そのたびに雷鳴を響かせる。

 雲の渦が神社を覆い隠すほど大きくなったとき、渦の中心から真っ白で超巨大な蛇が頭を覗かせた。

 白蛇は神の遣いだと聞く。あれって清司が呼び出したの? もしかしてあの大蛇がザクロを食べちゃうとか!? そんなのイヤ!


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