過保護な妖執事と同居しています!


 今日は和食だ。

 魚の煮付けにタケノコと椎茸の入った炊き込みごはん。豆腐とネギの味噌汁とスーパーで買ったものだけど野沢菜の漬け物が添えられていた。

 おいしそうなごはんを目の前にして、諸々の疲れもどこへやら吹っ飛んでしまう。

 ザクロは緑茶を淹れてテーブルに置くと、食事をしている私をニコニコしながら眺めた。


「ねぇ、どうして私が食べてると嬉しそうに笑うの?」
「食べている時の頼子は幸せそうだから、私も元気になるんですよ」
「え……」


 そりゃあ、おいしいものを食べるのは好きだし、幸せだけど、食べるのが生き甲斐のように言われるのは……。

 まぁ、私が食べてるだけでザクロも幸せなら、遠慮なく食べるけど。
 私が遠慮なく幸せをかみしめていると、珍しくザクロが話しかけてきた。いつも食べているときは黙って見ているだけなのに。


「頼子、昼食には満足していないのではないですか?」
「うーん。まぁ、仕方ないし」


 五年も同じ職場にいると、近所のコンビニもごはん屋さんもほとんど網羅して、飽きてしまうのは仕方ない。


「職場にいる頼子は時々気分がすぐれないことがあります。頼子に言われたので、職場のことは手出ししませんが、せめて食事の時だけでも幸せを感じて欲しいと思います。私が昼食をお届けしてはいけませんか?」


 いや、お届けして欲しいのは山々なんだけど、受け取れないし。
 机の上に突然食事が現れたら、みんながびっくりするし。
 でも、ザクロのごはんは捨てがたい。
 あ、そうだ。


「じゃあ、お弁当作って」
「お弁当?」
「うん。朝、お弁当箱に食事を詰めてくれたら、それを持って行って昼に食べるから」


 昔買って一二回使っただけのお弁当箱が、シンク下のどこかにあったはずだ。
 ザクロは満足したように、にっこりと微笑む。


「かしこまりました」


 三食ザクロのおいしいごはんが食べられるのかと思うと、私も益々幸せな気分になった。

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