「頼子、私を目覚めさせてくれて、ありがとうございます」


 ザクロがキラキラ笑顔で私に礼を言う。
 いや、そんな、改めて言われなくても、おかげさまで私もすっかり頼りにしてるし。


「ずっと一緒にいてもいいですか?」
「うん」


 だって、私が死ぬまで離れられないんでしょ?


「では、私と夫婦(めおと)になってください」
「は?」


 なに? いきなりどうしちゃったの?

 いや、そりゃあ、ザクロのこと嫌いじゃないけど、まずは恋人から……って、そういう問題じゃなくて。
 すっかりパニックを起こした私を、ザクロはいきなり抱きしめた。


「頼子、愛しています」


 近づいてくるザクロの顔を正視できず、私はぎゅっと目を閉じる。
 ちょっと、困るーっ!


「頼子」
「や、ちょっと……」


 ザクロの身体を突き放そうと、突っ張った腕が布団を跳ね上げた。

 あれ?

 目を開くと私はベッドの上に寝ていた。目の前ではザクロが不思議そうに私を覗き込んでいる。


「どうかしましたか?」
「あ……」


 夢……か……。

 私はため息と共に体を起こし、曖昧な笑みを浮かべた。


「なんでもないの。ちょっと変な夢見ちゃったから」
「そうですか」


 それ以上追及することなく、ザクロはあっさり引き下がる。いや、追及されても困るけど。


「朝食の準備が整っています」
「ありがとう」


 いつものように私が食卓に着くと、ザクロが熱いお茶を淹れて差し出してくれる。
 先ほどの夢を思い出して、なんだか気まずい私はザクロと目を合わせられずにいた。

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