過保護な妖執事と同居しています!


「やっぱり少し酔ったみたい。なんか眠くなって来ちゃったから、お風呂に入って寝るね」
「かしこまりました」


 頭を下げたあと、ザクロはテーブルの上を片付け始める。私は着替えとバスタオルを持って浴室に向かった。

 熱いシャワーを頭から浴びながら、私は胸を押さえて自分に言い聞かせる。

 落ち着け、私! ザクロに感づかれる。
 でもたぶん、もう伝わってるはず。私が動揺していることは。

 どうして私の名前を呼んだの? 間違えただけだよね? わかっているのにドキドキが止まらない。

 あのまま私が素に戻らなかったら、ザクロはキスしてたのかな。ロベールを演じながら。

 元々ザクロは私を喜ばせるために、私の望む姿を演じている。ザクロの心はいつも見えない。本当のザクロはどこにいるの? 本当のザクロに会いたい。

 なんだか切なくて涙が滲んできた。
 だから動揺しちゃダメだってば! 平常心、平常心。

 言い聞かせてもドキドキと涙はおさまらない。
 やばい。もうザクロなしじゃいられないくらいに心が依存してる。

 私、ザクロが好きなんだ。


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