3つのR
10、再び秋、強くなる理由


 10月のはじめ、姉が出て行ってがらんとしたこの家に、龍さんが引っ越してきた。

 この家は2LDK。そして家賃は7万円。姉がガンガン龍さんと話を詰め、彼が契約主の上に高い方の家賃を支払ってくれることになった。

 私は若干悔しかったけれども、正社員の彼と自営業の末端をウロウロする私では社会的信用も天と地ほどの差があるので仕方がないと諦めた。

 それでも龍さんは、前より広いところでちゃんとした台所もあるし、何より初めて彼女と同棲~と喜んでいる(らしい)。なんせいつでも明るくふざけている男性なので、本当のところ彼の喜びがどの程度なのかは私には判らないのだ。

 とにかく、元々物持ちで、しかも在宅で仕事をしていた姉と殆ど自分の物がなかった龍さんでは荷物の数が恐ろしく違い、彼は普通に自分の車で来ただけで引越し作業は完了してしまったのだ。

 しかも、全然もってなかった家具の、あの小さな部屋をほとんど占めていたベッドも本棚も、引越しの時に捨ててきたらしい。だから彼は衣料品のほとんどだけで私の家にきたことになる。

「え?じゃあ龍さんどこで寝るの?」

 姉が使っていた部屋が空いているから、私は勿論ここが龍さんの部屋になるって思ってた。すると龍さんは、入口に両手をかけてだら~っと体を倒し、不服そうな顔でこう言った。

「何いってんの、ジュンコさん。俺はあんたと一緒に寝るんだよ」

「・・・」

 ・・・どっひゃー!!え、本気でそれ言ってます!??


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