華は儚し
第四華 葵屋と桐島園

―――



“桐島園の宗十郎様は凛々しくて男前で憧れよね”


夕刻と言われる時刻になれば、

土産物を使いに持たせていた姐様たちが

おかえりになっていて、襖の隙間から覗いていました。


「今日も太夫目当てでいらっしゃるのでしょ。

蛙の子は蛙ってことよ」


「霧里って名前も母と同じ」


「駆け落ちして、くらませたと思えば

秋良様に泣きついてきたの」
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