◆◇◆◇

 家に着くと、ホッとするような温かさが蒼介を包み込んだ。

「お帰りなさい」

 真っ先に出迎えてくれたのは、美雨の愛らしい笑顔だった。

 七年前に運命的な出逢いを果たし、今は蒼介の妻として彼の隣に添い続けている。

「ただいま」

 美雨の笑みに応えるように、蒼介もまた顔を綻ばせる。

「あ、蒼介」

 蒼介と並んでリビングに入りながら、美雨は少女のように瞳を輝かせながら言った。

「明日の約束、憶えているわよね?」

「明日……?」

 蒼介が眉を寄せながら首を捻ると、美雨は唇を尖らせた。

「もう! 先週から言ってたじゃない! 明日のお休みは、一緒にお花見に行こう、って。だいたい、言い出しっぺは蒼介なのに……」

 恨めしそうに美雨に睨まれ、蒼介は狼狽した。

「す、すまん、つい! でも、大丈夫だ。明日はちゃんと空いてるから」

「――ほんとに……?」

 疑わしげに見つめる美雨に、蒼介は「ほんとに」と強く頷く。

「ここんとこずっと、忙しくて構ってやれなかったからな」

 蒼介はそう言うと、美雨の頭に手を載せた。

「――子供扱いしないで下さい」

 不満げに口にしながらも、美雨はまんざらでもないようで、蒼介の手を振り払おうとはしなかった。
.

この作品のキーワード
結婚  夫婦  運命  切ない  しっとり  シリアス  出会い 

感想ノートに書き込むためには会員登録及びログインが必要です。