「――どこ行ってたの……?」

 ベッドに戻るなり、蒼介が気だるげに訊ねてくる。
 いつの間にか目を覚ましたらしい。

「起きてたの?」

「たった今ね」

 蒼介はそう言いながら、半身を起こして美雨を手招きしてきた。

 美雨は引き寄せられるようにベッドに近付く。
 そのまま端に座ると、蒼介の腕の中にすっぽりと包まれる。

「しんどくない?」

 抱き締めたまま、蒼介が訊く。

 美雨は蒼介の胸に頬を押し当てたまま、「ううん」と首を横に振った。

「もう平気。いつもの蒼介と違ってちょっとビックリしたけど……」

「ごめん、つい……」

「ほんとにいいから」

 美雨は頭をもたげ、蒼介を見上げた。

「蒼介といっぱい愛し合えて幸せだもの。蒼介の意外な面を見れたのも新鮮だったし」

 そう告げてから蒼介の唇に軽くキスすると、「俺も」と蒼介が言葉を紡いだ。

「実は自分で自分に驚いてる。俺はそんなに性欲が強くないと思ってたから。けど、美雨が俺との子を望んでくれてると分かったら嬉しくなって、抑えられなくなった……」

 蒼介の手が、美雨の腹部に触れる。
 だが、中に入れず、Tシャツ越しに優しく撫でてきた。

「今夜ので新たな命が宿ったかどうかは分からない。でも、家族が増えたら俺は今よりももっと頑張るから」

 真面目な蒼介らしい台詞に美雨の口元が自然と綻ぶ。

「無理だけはしないでね?」

 蒼介に真っ直ぐな視線を注ぎながら、美雨はゆったりと続けた。

「私は、蒼介が元気でいてくれるだけで充分なんだから。蒼介が側にいてくれれば、私は幸せなの。もちろん、いつか加わるかもしれない新しい家族も、ね」

 美雨はニッコリ微笑み、再び蒼介に口付けた。

 蒼介もそれに応える。

 外では相変わらず雨が静かに降り続いている。

 ふたりの、これからの永く幸せな未来を願うように――

[愛してるから言えなかった-End]

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結婚  夫婦  運命  切ない  しっとり  シリアス  出会い 

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