好きって気づけよ。
*少しだけ苦手です
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それから日は流れて、テスト前日。
一応いまは自習時間なのだけれど、勉強をしている子もいれば友だちと話している子もいる。
先生も注意せずに文庫本を読んでいるし、テスト前日なのにわりと自由な時間だ。
数学の図形に苦戦していた私は、となりからとんとんと肩をたたかれた。
「心愛ちゃん。この問いわかる?」
「えっ……ごめんね。そこは私もわかんなくて」
「そっか。じゃあ舞香ちゃんはここの解き方わかるー?」
栗原くんが明るいトーンで、前の席の舞香ちゃんに話しかける。
英語の問題集に取り組んでいた舞香ちゃんは、ぎろっと栗原くんに冷たい視線を送った。
それに私が冷や汗を感じるのも……もう、毎日のこと。