私は異世界の魔法使い?!

・記憶の扉



パタンと閉じた鉄の扉は、もう開く事は無い。


その存在はこの果てしない闇の中で、ひっそりと役目を終えたように影に身を包んだ。


「あれが、ミアなんだね……」

『……そうだ』

「っ……」


言いかけて、口をつぐんだ。

だってなんだか……あれは自分だけど自分とは違う。

私よりも真っすぐ先を見据えてて、強くて凛々しいとすら思った。


その時、再び私の目の前には、新たな扉が現れた。


「……また新しい扉」


その扉はこの闇の中で一際目立ち、闇をも飲み込むような白い色をした扉。

扉には磨りガラスの窓が6つ、バランス良く付いている。

ガラスから扉の中が透けて見えないか覗き込むが、窓の中は暗く、光さえ見えない。

けれど今度の扉はL字型のドアノブを捻ると、それは軽く開かれた。


するとそこはーー。


「……あれっ、ここって……宮殿?」


他の扉の中とは違い、ここの景色にだけは見覚えがあった。

迷宮の森に来る前、カイトと出会った場所でもある真っ黒に彩られた宮殿内。



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