青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。

水飛沫のなかで




「小城。お前に、罰掃除を命じる」


金曜日の、放課後。

あたしは職員室で、生物教師からそんな任務を言い渡された。

「えっ………」

「中庭の花壇の近くに、雑草が生えまくっててなぁ。困ってたんだよ。草むしり、やってくれ」

中庭の花壇といえば、生物教師たちが楽しそうに手入れをしているところだ。

そこの、草むしりって…

「…ま、マジですか」

「おう。体操服持ってるか?」

ありますけれども…

あたしはため息をつきそうになるのを必死に抑えて、「わかりました」と答えた。

「やったら、課題受け取ってもらえるんですよね?」

「ああ」

そもそもの発端は、あたしが生物の課題の提出を大幅に遅れたことにある。

本当は一週間前に提出しなきゃいけなかったのに、すっかり忘れていた。

それで今日思い出して、慌てて職員室へ行ったんだけど。

先生は受け取ろうか受け取らないか迷っている感じで、そこをなんとかというと、罰掃除を命じられた。


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