青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。

その瞳の先に




「おーい、ふたりともー!おっそいぞ〜!」


放課後、あたし達四人は帰り道を歩いていた。

歩くのが遅いあたしと池谷くんを置いて、利乃とトモはどんどん歩いていく。

ふたりの姿が小さく見えてきたところで、利乃が振り返って、ぴょんぴょん飛び跳ねた。


「…いや、暑いし。なんであんなに利乃は元気なの」

あたしが手でパタパタと顔を扇ぎなから言うと、隣で池谷くんもため息をついた。

「利乃、夏は毎年あんな感じだよ。誰より元気がいい。つーか、ホント暑いね…」

なんかもう、笑う余裕すらない。

のろのろと歩くあたし達に、利乃が呆れたように「もぉーっ」と頬を膨らませた。

そして、ずんずん先へ行く。

さすがお人好しのトモ、利乃をひとりにするわけにも行かず、あたし達を気にしながら、あとをついて行った。

その後ろ姿を、ぼうっと見つめる。

夏の暑さが、心を浮つかせるようだった。


……トモと付き合ったら、きっと楽しいんだろうな。

このままのあたしを、好きになってくれた。


< 83 / 380 >

この作品をシェア

pagetop