恋の糸がほどける前に

「でも協力ならいつでもするから言えよ。……ほら、ハグの練習とか」

どうせ家族以外の男としたことないんだろ?なんて言いながら。


「ちょ……っ」


グイッと、強い力で引き寄せられて、気付けばヤツの腕の中。


「ふ、ふふふふざけんなーーっ!!」


全力で身体を押し返して、掴まれた手を振りほどいて、私は2階の自分の部屋まで駆け上がった。


「逃げんの早っ!反応ウブ過ぎんでしょ」


なんて、クスクスと笑いながらの言葉に、ウブで悪かったね!と心の中で言い返しながら。


……昔から、こうなんだ。

いつだって私のことをからかって楽しんでいる。

私だって小さい頃は、お兄ちゃんと萩野先輩ばっかり仲良くするから私も仲間に入れて欲しくて、うるさいくらいに後をついて歩いたり、懐いてた時期もあったけど。

そしていつも萩野先輩は必死で後を追いかけていた私を面白がっていたけど。

もう私だって高校生。


恋愛くらい、するんだから!

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