ラストバージン
「あの、主任……」


思い詰めた表情の酒井さんの言葉を待っていると、彼女は言い難そうにしながらも続けた。


「矢田さんの指導看護師、誰かに代わって貰う事って出来ませんか?」


「え?」

「私、本当に無理です……」

「酒井さん……」


二週間で音を上げたくなるのも頷ける程、矢田さんのミスは多い。
指導看護師である酒井さんが一番被害を被っているし、努力家の彼女がこう言うのだから余程つらいのだろう。


基本的に指導看護師は経験が二年以上のスタッフを付けるのがうちの決まりで、三年目である酒井さんと彼女の同期を選んだのは二人なら出来ると思ったから。
他の科では中堅のスタッフに割り振るようだけれど、指導内容が他よりも少ないリハビリ科なら三年目でも充分だろうという判断もあった。


それに、一番指導するのは主任である私だから極力フォローするつもりだったし、若いスタッフを指導看護師にする事で彼女達にも力を付けて欲しかった。


「矢田さん以外の子達が相手なら何とか頑張れると思いますけど、矢田さんだけはどう接すればいいのかわからなくて……」


だけど、それは私の判断ミスだったのかもしれない。

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