黒愛−kuroai−
ブタ ガ エサ
 



 ◇◇◇


新学期初日。
8月末はまだまだ暑い。


下敷きでパタパタ扇ぎ、ヌルイ風を浴びながら、菜緒とホームルーム前の雑談を楽しむ。




「愛美はスゴイわー。
普通は彼女持ちと分かった時点で、諦めるよね」



「諦めるのが普通?
理解できない。私なら余計に頑張ろうとするけど」



「あんたの凄いところはソコだよね。
何があってもヘコタレない。

心臓に毛が100本生えてるんじゃない?」



「え〜その表現キモ〜イ。
想像しちゃうじゃん」




菜緒には、夏休みに電話で報告済みだった。


柊也先輩に付き合って欲しいと言われたことを説明すると、

菜緒は驚き、スマホの向こうで大きな音を立てた。



コーラ入りグラスを床に落として割るくらい、予想外の報告だったらしい。



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