黒愛−kuroai−
 


その後、どうやって彼を落としたのか頻りに聞いてきたが、さすがに本当の事は言えない。



テニスの応援を頑張っていただけ。

彼女より私の方が可愛く見えたんじゃない?


そんな説明をしておいた。




彼との夏休みのデートについて、菜緒に話す。


テニスの練習後にドーナツを食べに行って…

プラネタリウムに行って…


どれも楽しい思い出だが、話していて“つまらない”と感じた。


“私の輝く夏”
その聴衆が、菜緒1人という事がつまらない。




朝のクラスは騒がしく、それぞれのグループで、夏休みの思い出話しに盛り上がっている。


大きな話し声に、ケタケタと笑う声。


それらの声に掻き消されないよう、声を張り上げた。




「菜緒!私ね、今が最高に幸せだよ!

アノ柊也先輩と付き合ってるんだよ?
柊也先輩の彼女が私なんだよ?

嬉しいなー!!」



< 90 / 276 >

この作品をシェア

pagetop