黒愛−kuroai−
その後、どうやって彼を落としたのか頻りに聞いてきたが、さすがに本当の事は言えない。
テニスの応援を頑張っていただけ。
彼女より私の方が可愛く見えたんじゃない?
そんな説明をしておいた。
彼との夏休みのデートについて、菜緒に話す。
テニスの練習後にドーナツを食べに行って…
プラネタリウムに行って…
どれも楽しい思い出だが、話していて“つまらない”と感じた。
“私の輝く夏”
その聴衆が、菜緒1人という事がつまらない。
朝のクラスは騒がしく、それぞれのグループで、夏休みの思い出話しに盛り上がっている。
大きな話し声に、ケタケタと笑う声。
それらの声に掻き消されないよう、声を張り上げた。
「菜緒!私ね、今が最高に幸せだよ!
アノ柊也先輩と付き合ってるんだよ?
柊也先輩の彼女が私なんだよ?
嬉しいなー!!」