「涙流れる時に」
エピローグ
牧村さん・・・斉木は恭平を呼び出した。

「百合は病室を抜け出しては

男と肌を合わせる・・・そんな・・・まぁ、病気なんですが・・・

でも、僕がしっかり百合を守ります。」

斉木はとうとう百合と結婚する決意を固めていた。

「牧村さん・・・。百合があなたにしてしまったこと・・・奥様には話さないほうがいい。

僕たちはこの病院から出ますから。」



百合は・・・

恭平だけには唯一、罪悪感を感じていた。

美弥の大事な人だったから・・・


初めてできた友達 美弥にした最低な意地悪・・・


「ごめんなさい・・・」


涙は凍りついた心を溶かすように・・・


時は流れた



百合と斉木と流れる穏やかな時間

もうすぐ春は訪れようとしていた。



牧村家には新しい風が吹いていた

「美弥・・・」恭平は美弥の退院を迎えていた。

「ただいま」美弥はまた自宅に戻った。

「先生・・・」恭平は斉木に連絡をすると

斉木もまたその声は軽やかに、


「百合が出産します」・・・


百合は新しい命に生きる喜びを感じていた。


「今度は産むからね」

力強いその言葉は

斉木の心を熱くした。

「愛してる」

「私も・・・」

「初めてだな。そう言ったの。」

「うん」



頬をつたう涙は

もう悲しくなんてない・・・



百合は今

愛を感じていたから。


温かい春の風に仰がれて

百合の髪はなびく

斉木との未来を、今、歩き出した。



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