限定のサービスランチに舌鼓を打ちながら彼女の話に耳を傾けると趣味はツーリングで休日は彼氏さんといろんなところに出かけるとか。



会社でいかにも地味OLを演じているのは彼氏さんからの命令らしい。



「モテると困るかららしいんだけどおかげで私は会社で声を掛けにくい印象になっちゃったわよ。でも、佐伯さんが声を掛けてくれたの嬉しかった。みんながミーちゃんって呼んでるの羨ましかったのよ。私も呼んでいい?」



微笑みながら言われて彼氏さんの言葉がストンと胸に収まる。メガネを外した緒方さんはクールビューティーと言わんばかりの綺麗な顔をしている。



普段は外さないようにしてるんだけどとお近づきの印に外してくれたメガネ。


なんだかオンとオフを分けているところが課長にそっくり。



「もちろん、呼んでください。あたしも加奈子さんって呼んでいいですか?」


「もちろんよ」


こんな風に新しい人間関係が作れるようになったのは課長のおかげ。メガネの下の可愛らしい時田悠貴さんを知れたから。


きっとあの言葉がなかったら私はイメージに囚われて新しい人間関係を作ることも距離を縮めることもしなかった。


美人の緒方さんに溺愛彼氏がいてホッとしたことだけは私だけの秘密。こんな美人には勝てない。でも、本当にあたしと課長は付き合ってるのかな。



また一緒にお昼に行く約束をして課に戻ると、若干不機嫌な課長が席に座っていた。携帯を返しに行こうと立ち上がりかけたけれど、誰かに見られるとややこしいし、不自然。


でも、あの不機嫌さは間違いなく携帯だろうと迷ったけれど、返そうと立ち上がると鳴り響く午後のチャイム。結局タイミングを逃し、課長は、資料を抱えまた会議に出て行ってしまった。

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