鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ
「いらっしゃーい。何もないけどゆっくりしてってね」


たっぷりと一時間、サンドバックと格闘した課長はお風呂に行くといい、私は中に案内された。石階段の奥の通路を進むと一つの扉があり、それを開けるとさっきから香る美味しい匂いが充満してる。


ドアを開けた瞬間にパッと振り向いた女の人はニコッと私に笑いかけてくれた。ショートカットで童顔のエプロンが似合う可愛いふっくらした人。


「おばちゃん、俺、風呂入ってくるから適当に相手してあげて。後、シャンプー買っててくれた?」


「買っておいたわよ。早く汗流してらっしゃい。あっ、ちょっと待ってね。今、これだけ焼いちゃうから」


「あっ、お構いなく」


ごめんなさいねと菜箸を片手に魚をコンロに入れた後、バタバタとスリッパを響かせて冷蔵庫を開ける。これがお母さんの姿なんだ。私のお母さんは早くから入院していたから、キッチンを忙しなく走り回ったりすることはなかった。
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