鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ
よしっ。まだ課長は来ていない。待ち合わせ十分前に到着した私は、そわそわとしながら辺りを見渡しつつ、課長を待った。


土曜日の松ヶ崎駅に来たのは、初めてかもしれない。いつもこの時間は、帰宅途中のフルールの社員さんでごった返しているのに、今日は本当にそれらしき人はいない。


それにしても、こんな姿でこの駅にいると、違和感を感じてしまう。さすがに、仕事に行く時はそれなりの格好をしてるけれど、実際、私の好きなファッションは森ガール風のガーリーファッション。

ちなみに、琴美は最初森ガールの服装で会った時、あまりのギャップに驚いていた。 課長も驚くかな。でも、せっかくなんだから、好きな格好を見てもらいたい。


今日はお気に入りのハンドメイドの花のコサージュとレースの刺繍が付いているブラウンのロングスカート。モスグリーンのトップスは裾からレースが見えている。それに髪の毛なんかも巻いてシュシュで緩めに横に結んでみた。



でも、課長には私自身をもっと知ってほしい。たとえ、驚かれてもこれが私なんだから。


そう思ったのもつかの間、何だか人から見られてるような気がして仕方なかった。自分では完璧だと思ったけれど、課長から見たら子供っぽい?一緒に歩きたくないって思われるかな。そんな不安が一気に押し寄せてきた。



「えっ?もしかして佐伯?」



声を掛けられ、振り向くと黒のポロシャツにジーンズというラフな格好をした時田課長と、目を丸くして驚いている唯野さんと比嘉さんが立っていた。
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