Dear.

人斬り

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壬生寺の中は、外見とまるで違っていた

それは、見た目だけでなく、清潔感という点で。



「掃除はされないのですか...?」



「女手が足りなくてねえ。
隅々まではしないかな」



あはは、と軽く笑っている沖田様に少々呆れた目を向けてしまう



いくら、汚くても限度というものがあると思う



兄さんは綺麗好きだったのに..


よくこんな所で何ヶ月も耐えられたものだ



「じゃあ、この部屋で待っておいて。」



ズズーッと、埃を引きずる音ともに開く障子



最早、呆れすぎて何もいう気も起きない




「局長とか副長とか...あと彼の遺品を持ってくるよ」



彼の言葉にうなづくと部屋の左端に座る



遺品...か。



江戸の家のは手入れが出来ないということもあり、もう全て売り払うか、捨ててしまうかしてしまって兄さんの遺品は殆どない




だけど、ここにまさか兄さんの遺品がまだ残っているなんて想像もしていなかったから嬉しい



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