都立白黒高校2年C組探偵団
5 事件
高校の門の前は人だかりができていた。パトカーや救急車のサイレンの音で、近隣住民が集まったのだ。

 女子生徒が屋上から転落したと、概要だけは伝わっていた。

自殺か事故であるかは捜査中だった。

 校舎の入り口が電灯で明るかったので、四人の生徒と警備員は集められたのだった。制服警官に見守られ、身動きさえできなかった。

 樹利奈が落ちた現場はブルーシートで覆われて、和也たちがいるところから二十メートルは離れていて、何が行われているのかさえわからなかった。

「ねえ、どうなったのかな?」

 と、沈黙を破って祥子が言った。

「さあ」

 と、裕一は言っただけだった。
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