都立白黒高校2年C組探偵団
2 由紀
放課後になり、二年C組の教室に三人しかいなかった。

 裕一と祥子はずっとしゃべっているし、その横で、和也は椅子に腰かけて推理小説を読んでいた。

 いや、和也は本を開いているだけだった。

「あの……」

 と、そこに由紀がドアを開けた。

 和也は固まったかのように、微動だにしなかったが、視線だけは由紀に向けた。

「こっち」

 と、裕一は右手を振って合図した。

「どうぞ……」

 と、和也が言うが、声が小さくて、由紀には聞こえていなかった。

「きたな。こいつ待ちくたびれて、怒っていたぞ」

 と、裕一はにやけて、和也の頭を軽く叩いた。
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