君のためにできること
三芳くんにそう言われて、一緒に玄関まで来たが、そこに貴史が待っていたので、三芳くんは一人で帰って行った。

私は何も言わずに靴を履きかえると、外に出た。

貴史は怒っているのだろうか。

あれから何も言わない。

今玄関にいるのは、私を待っていてくれたからなのかどうかも、私にはわからない。

私はあえて声をかけないまま、ゆっくりと歩きだした。

「・・・志麻。」

後ろから、低い貴史の声がした。

「ん?」

私は前を向いたまま、立ち止まって尋ねた。

「・・・オマエ、来るの遅いんだよ。早く帰ろうぜ。」

「うん!」

私は嬉しさのあまり、貴史の腕に飛び付いた。

「貴史ってば、怖い顔してるから、怒ってるかと思っちゃったじゃないよー!」

「オレ、絶対にイヤだかんな。アイツの絵のモデルに志麻がなるのは。ずっと考えてたけど、やっぱりダメだ。」

そうきっぱり言う貴史に、

「えー、何でよ?もしかしてヤキモチ?」

「バカ言え!そんなんじゃねぇよ。」

と、私には何だか照れているように思えた。
< 17 / 37 >

この作品をシェア

pagetop