君のためにできること
私は貴史の答えに呆然としながらも、貴史の後は追わずに体育館へと戻った。

「あれ、志麻ちゃん。そのシャツ・・・。」

「うん、貴史の・・・。」

「・・・で、アイツは?」

「屋上。・・・なんかさー、貴史ってばいっつも自分のこと、否定するんだよね。どうしてだろ?ハルキくん、何か知ってる?」

「さぁ。貴史のヤツ、時々わっかんねーからなぁ・・・。けどね、志麻ちゃん。貴史は自分の体のこと、引け目に感じてるっていうのは確かだよ。やっぱり普通のことができないっていうのは、ツライと思うよ。」

ハルキはそう言うと、にこっと笑って、

「屋上に貴史、いるんだろ?行ってあげなよ。何だかんだ言っても、アイツは結局、志麻ちゃんだけなんだし。それに、シャツも返さないとね。」

と、私の背中を押した。

「でも・・・。」

「もしこれで貴史が何か言ったら、オレがアイツに言ってやるよ。そのときは志麻ちゃんも、ほっといていいから。」

「よーし。んじゃ行ってくるわ。ハルキくん、いろいろありがとね。」

「いってらっしゃい。」
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