私が壊れる DV被害者の叫び
針の山
コトン


夜中に氷を一つ落としてしまった


11時過ぎのリビングにくっきりと響いた
「逃げなくちゃ」

探したけど見つからなかった
あの人に見つかると文句を言われる
その前に2階へ上がらなくちゃ


私は夫が怖かった


寝室をようやく分けてくれたときにはほっとものだ



2階へ上がりドレッサーの前に座り髪を直す
大声を出されなくて良かった


突然、怒涛が響いた

「おい!何で氷を拾わんだ!落ちただろう!」
大体、お前は片付けることがない、いつも放りっぱなしだ

鬼のような形相で充血した大きな目を見開いて私を睨む


いつも、私は言われっぱなしだ
言い返せば10倍、多く返されてひどいときには腕を捕まれてその場に拘束される


私のなかで、嫌だ、なんでこんな風に言われるのか悔しさで涙がこぼれた


呼吸を整えリビングに向かう


「氷のことで何で頭ごなしに怒鳴られなくちゃいけないの?」
はあ?
夫は力任せに私の胸ぐらを掴みあげ
「生意気だ!俺に意見するか?」

パシッ
私の頬に痛みが走った
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