歌姫桜華
▽嫌いじゃないよ

 トントンとノックしてから、理事長室へ入った。


「…美藍。どした?」


「え、えっと………あ、寮の部屋どこかなって」


「お前、今授業中だぞ?」


「ごめ…」



 甲羅のやつらから逃げてきた。

 なんて、言えなくて…。


 私はとっさに言い訳をしてしまった。



 きっと、晋也さんはわかってる。


 なにかあったってことくらい。


 でも聞かない。


 ……ありがとう。晋也さん。



「寮の部屋はな、最上階の505号室だ。一人部屋だからいいだろ。
 あ、あとな、この学校には女子お前だけだから。気をつけろよ」


「うん。…わかってる」


 私は晋也さんから鍵をもらい、早速寮へ行くことにした。


 授業なんて受けても、集中できないと思うし。

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