彼が虚勢をはる理由
01. 時計は正義?

いち。






「ねぇ知ってる? 今日、ウチのクラスに転校生が来るらしいよ」

「マジで? どんな子かなぁ?」


私は学校に来て、下駄箱から教室に向かう途中で、そんな声を聞いた。
どうせ私には関係無い。……そう思ってたけど。


「あ、香苗、おはよう」

「おはよう。舞子、ハル」


転校生の噺をしてた女子二人が、私の方に振り向いて、挨拶してきた。




私、星崎香苗(ホシザキ カナエ)、公立高校の二年生。

挨拶してきた二人は、クラスメートで、太田舞子(オオタ マイコ)と、ハルこと日野遥(ヒノ ハルカ)。


「香苗は知ってる? 今日、ウチのクラスに転校生が来るらしいよ!」

「舞子の声が大きいから、廊下でも聞こえてた」

「イケメンだったらどうしよう?」

「ハルは彼氏いるじゃん」

「ってか、どうやってそんな情報を手に入れてるの?」


そんな他愛無い会話をしながら、教室に辿り着く。

転校生かぁ、高校入ってから初めてかも。
何か久々で、凄く新鮮。
ハルじゃないけど、本当にイケメンだったらどうしよう?

私は少しテンションが上がりながら、荷物を机の中に入れ、ホームルームが始まるのを待った。





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