齧り付いて、内出血

流れる会話にひたすら相槌を打ちながら、大好きなビールばかりをがばがば飲んでいた。

甘いのだとたまに悪酔いするけれど、なにせ私は酒に強い。

中でもビールは滅法強い。

このあたりにも可愛らしさの欠落を感じるのは私だけだろうか。


ふと時計を見ると、終電までぎりぎりになっていた。

帰れなくなるのはごめんだ。

疲れたし早く湯船に浸かりたい。


『先生、私そろそろ終電なので失礼します。今日は勉強になりました。ありがとうございました。』

「もう終電か。こちらこそ助かったよ。きみみたいな優秀な女性を見るのは楽しい。――おい誰か、駅まで送ってやりなさい。」


教授の声に、何人かが立ち上がるけれど、皆見事に顔が真っ赤っか。

どう見ても私が一番しっかりしている。

冗談交じりにその旨を伝えて、送ってもらうのは丁重にお断りした。


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