――「あーん…、うまくできない~」

佐奈が破れた餃子の皮から中身を取り出してボウルに戻す。

「へたくそ。だからこうやるんだって」

俺は包んだばかりの餃子を佐奈の目の前に出して見せる。

「偉そうに。たかが餃子じゃないの」

彼女はふて腐れながらもじっとそれを見つめる。
キッチンに二人並んで立って夕食の準備をしていた。一人だと食事をすることすら面倒だったのに、とても楽しく感じる。
色違いの揃いのエプロンを着けて笑いながら調理をする様は一般の夫婦と何ら変わりはないだろう。

「た・か・が・餃子も作れない奴に言われたくないね」

クスクス笑いながらそんな佐奈を見つめた。

「負けないわよ。今度こそうまくやるから」

ムキになって材料を手にする彼女を見ながら何故だか急に不安が襲ってきて、笑うのをやめた。

「…何よ。バカにしてるんでしょ」

そんな俺の顔を見て佐奈が眉をしかめた。

「……そんなんじゃ、ない」

そのまま腕を伸ばして佐奈を抱きしめた。