翌日。

目覚めてすぐに、身体がだるいことに気付いた。
そっと視線を自分の身体に向ける。

…あ。これか…。

私の胸の上にどっかりと置かれた腕。

視線を真横に向けると、克哉がすやすやと気持ちよさそうに寝息を立てている。

「もう…。重いって…」

小声で言いながらそっとその前髪に手をやる。

それは私の指をすり抜けてさらりと落ちた。

「呑気ね」

そのまま彼の唇にそっとキスを落とした。

再びこうして私の隣に克哉がいることに、戸惑いを感じながらも幸せに思う。

帰ってこい、と言った後で『いずれ別れる時期がくる』と彼は言った。

今さらだけど、克哉は何故私を助けようと思ったのだろう。
糸井製菓との縁談が浅尾屋を十分救えたはずだ。

私を哀れに思ったにしても、普通は結婚までしてはくれまい。

ましてや、付き合っている恋人までいたのに。