そのままとぼとぼと廊下を歩いていた。
今度こそすぐに、出て行かなければならない。
克哉に何も、悟られないように。

中沢さんを待たせてまで、私を守ることに意味があるの?
聞いてもきっと答えてはくれないだろうけれど、そんな克哉の優しさが、今の私にとっては堪らなく嫌だった。

「あ。いたいた。佐奈!」

そんな事を考えながら歩く私の前方から、克哉が満面の笑みで近づいてきた。

「お前さ~、ちょっと飯の時間が長くねぇか?どんだけ食ってんだよ。牛や象じゃあるめぇし」

私は笑いながら冗談を言う彼をジッと見たまま黙っていた。

「あのさ~、企画の撮影なんだけど、スタジオが明日しか空かないみたいでさ。モデルに連絡取って都合聞いてほしいんだよな。お前が担当してたよな?」

私は何も言えずに俯いた。

「ん?佐奈?どした」

…克哉は私を邪魔に思っている。
彼女に、あと少し待つように伝えて、私がいなくなるのを待っている。

「おーい。聞こえてるか~」