「靴の色七番にして」

「はい」

「次の小物は?」

「あ、そこのバスケットにあります」

撮影も大詰めになってきて全員総出で作業を進める。

「留美子ちゃん、モデルさんの着替えは」

「もう終わってます!あ、こちらです」


克哉とつまらない言い合いをする暇なんて全くないほどに慌ただしく時間が過ぎていく。
秋本くんにからかわれたことすら、いつしか忘れていた。



***

「乾杯~!」

最終選考突破組で、その日は飲みに行くことになり、私たちは居酒屋でジョッキを合わせた。

克哉とは少し離れた席に座ることになり何故だかホッとする。

「浅尾さん、お疲れ様」

私の隣には秋本くんがニコニコと楽しそうに笑っていた。

「お疲れ様。ようやく終わったわね」

「今日は仕事は忘れて楽しもうよ」

「うん」

私はそんな彼につられるように笑った。
このまま何もかもを忘れてしまえたら、秋本くんの言うように心から楽しめるのに。