*花は彼に恋をする*【完】

漆黒の瞳が私の瞳を見つめる。

手と指の温もりが伝わって

感激と一緒に胸がさっきより

ドキドキして止まらない。

「…もう泣かせないから。
曖昧や言葉不足にならないように
俺も気をつける。
だから、玲花もこれから先
今回みたいに明らかな事実無根や
言いがかりをつけられた事を
俺に黙っている事も
『大丈夫』と誤魔化す事も
……絶対にやめて欲しい。」

「……はい。」

「…瑛美香の事とかでも
遠慮せずに気になった事があれば
聞いて欲しい。
……もっと俺を頼って欲しい。
赤羽や三橋なら言いやすいのも
あるかもしれないが
あいつらと喋るなとは言わないが
大事な事は恋人である俺に
絶対に言ってくれ。
お願いだから…もっと甘えて欲しい。
もう…俺はこの数年間みたいに
後悔したくないから…。
本当に好きなんだ…。
いや…愛しているんだ…玲花を。」


『堪らなく…。』と囁きながら

翔英さんは辺りを見回して

周囲に誰もいないのを確かめると

顔をゆっくり近づけて

私に優しくキスをしてくれた。

後頭部を引き寄せられ

私はギュッと彼のシャツを掴んだ。


…好き…大好き。


私の瞳から涙が溢れ

少し涙味のキスになった。









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