*花は彼に恋をする*【完】

涙が止まらない私に

「…泣くな…野田。
本当にごめんな…。」

赤羽が涙を拭いてくれる。

「…ねぇ、赤羽。」

私は涙を流したまま口を開いた。

「…私は遊んでるように…見えるの?
こんなに…嫌われていたなんて…。
ねえ…赤羽。
そんなに私は目障りで邪魔なの?
いない方がいいの…?」

呟くように話す私に

「…馬鹿な事を言うなよ。」

怒りを含む赤羽の低い声が

廊下に響いた。

「…馬鹿な事を言うな。
お前がいなくなって
喜ぶヤツなんている訳ないだろ!?
目障りな訳ないだろ!?
あんなヤツの言葉を鵜呑みにするなと
今言ったはずだぞ!?」

「……っ。」

「…俺は勿論
藤村さんや高崎さんや三橋だって
お前を大事な仲間だと思ってる。
篠村舞花(しのむら まいか)も
お前をお姉さんみたいに慕ってる。」

「……うっ…っ。」

「…それに、何より…
黒瀬課長だって…お前を
そんな目では決して見てないさ。
…だから…そんな悲しい事は
二度と言うな!!
お前の両親聞いたら泣くぞ!?
…あんなにいい両親の娘なんだから
もっと自信をもて…もう泣くな。」

そう言いながら

赤羽は私の肩を優しく

ポンポンとしてくれた。




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