櫻いいよさんのレビュー一覧

★★★★★
2017/06/04 15:27
当たり前で特別なこと

なんともかわいいふたり。 幼馴染の寝起きの悪い彼としっかりものの彼女。 なんだかんだ言いつつも、彼は彼女に甘えているし、彼女は彼が大好きなんだなあと感じる、とにかくかわいい愛しいふたり。 おそらく言葉にしなくったって、ふたりはお互いの気持を知っているだろう。言われなくったってわかっているし、言わなくっても伝わっているだろう。 それでも。 やっぱり言葉にしてもらえるのは特別なことで。 やっぱり口にしてもらえると、嬉しいもの。 こんな風に、伝えて伝わる関係は幸せだなあ。

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★★★★★
2017/06/02 18:27
好きの言葉に感謝を込めて

毎日好きだと口にしてくれる男の子。 好きって言葉は嬉しい。好きだという気持ちが嬉しい。 だけど、彼の好きにはたくさんのありがとうがこもってる。 どストレートな彼の言動は思春期の男の子らしさがある。だけど、彼の思いを聞いたあとでは、なんてしっかりした男の子なのだろうかと。 こんな風に好きを口にしてもらえる。伝えることができる。 そんな二人に羨ましさを感じるほど幸せが広がる、そんな物語でした。 ありがとう、は、ありがとう、でなくても伝わる、伝えることができるんだなぁ。

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★★★★★
2017/06/02 11:52
溢れる星とあふれる想い

卒業式前夜、夜のプールサイド。 静かな世界の中で、ふたりきり。頭上には散りばめられた星々。 閉じられたようなその中で、語り合う彼の彼女。中学卒業を前に、思いを吐露した彼らは中学生という子どもから卒業するための一歩だったのだろう。 今までふたりの世界はおそらくとても狭く、そしてどこよりも安全なものだったのではないかと思った。 けれど、ずっとそのままではいられない。 卒業を迎えた彼らは、きっとこの先、今の世界を今よりも大事にしながらおとなになっていくのだろう。 彼らの小さな背中が目に浮かぶような、そして読後、これからの彼らにそっとエールを送りたくなる、そんな物語でした。

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★★★★★
2017/06/02 11:32
また会えてよかった

作者様の、とびきりの優しさ、そして少し切なくなる幸福感がぎゅうっと詰められた作品でした。 懐かしい彼らとの出会いに、読んだときの気持ちを思い出して胸が締め付けられる。 読み終わった後、しばらく作者様の作り出した世界と空気に浸っていたくなる。 そして、また彼らに会いたくなる。 「ありがとう」が、言葉ではなく作品から伝わってきました。 作者様のファンであれば間違いなく心に残るであろう作品ですが、今までの作品を未読の方も、是非この空気に触れて欲しい。そしたらきっと、他の作品を読み漁りたくなるのではないでしょうか。 素敵な作品を、ありがとうございました。

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★★★★★
2016/02/03 14:21
箱入り娘の成長

親からの愛をたっぷり注がれて育った主人公。門限は日没。男性とお付き合いなんて断固反対。会社は親のコネ。そして結婚は親の決めた相手と。 好きになった相手と結婚するんだとお付き合いすれば、二十年間大事にしていたものまで奪われあっさり捨てられ。 変わるんだと意気込んでみれば、何故かその結婚相手かつ幼なじみかつ会社の上司に勝負を挑まれる自体に。 傷ついて泣いたりするのは怖くて悲しい。でも、傷ついて泣いて生きていくのもまた、楽しみのひとつかもしれない。 そんな主人公の成長も微笑ましい。 そして、見事にすれ違う(勘違い)するふたりのやりとりも可愛くて微笑ましい。 言葉足らずで、どこか子供っぽい部分の残る主任。なんでこんな言い方しちゃうかなあと思いつつ、必死なのが分かるからちょっぴり切ない。 とても魅力的な可愛い二人のやり取り、最後まで楽しませていただきました。

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★★★★★
2016/01/27 11:07
ネタバレ
物陰から黒猫の騎士

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★★★★★
2015/11/11 00:16
一夏の永遠

突然、命を失ってしまった友人。 大好きな友人だった。 そして彼女を愛した彼から笑顔が消えた。 そんな彼女と唯一つながれる主人公。どうか、どうか、彼に彼女の想いが、熱が、伝わりますように。 始めから最後までずっと胸が苦しかった。みんながみんな、ただ純粋でたったひとつの想いを抱いているだけなのに、それが満たされない切なさに、涙を堪えるのが大変なくらい。 けれど、それを乗り越えた先にある彼らと彼女の笑顔は、とても眩しく感じました。 短い一夏を、主人公は間違いなく、永遠に彩った。 みんながとても愛おしくてたまらない。 この作品を読めて良かったです。

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★★★★★
2015/09/07 13:24
透明の檻

いつもは諦め気にしないようにしていた些細ないろんなことが、不意に自分の体には閉じ込めておけなくなる時がある。 大きな理由があるわけじゃない。 だけど、それを内にとどめておけない瞬間が誰しもあるんじゃないだろうか。 その瞬間。 その衝動。苛立ちとか憂鬱とか不快感とか不満とか。 それらを全て吐き出すように「ぼく」の拳が動いた。 そして、透明の檻が砕け散って小さな、だけどなによりも窮屈な空間に穴が空いた。 目の前にその光景が広がると、読んでいる私まで微笑が溢れる。 誰しも心のなかに少なからず抱える何かが、そこにあったような、そんな気持ちでした。 読後、ほんの少し、穴から差し込む光に、眩しさと開放感を抱くのではないでしょうか。 短いからこそ心にすっと染みこんでくるような作品でした。

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★★★★★
2015/05/26 21:15
ゆっくりと歩く二人の道

生まれつき重い心臓病を患う、主人公。 病気の事情で、学校の帰りは不便な小さな駅までのんびりと歩く。 そんな日々で出会ったのは、主人公とは交わるはずもないような、金髪の少年。 ふたりが出会う。 そして、ゆっくりと、距離を縮めていく。 それはとても温かく幸せなことだけれど、同時に悲しみを生む。 主人公とヒーローがとにかく真っ直ぐでかわいらしい。 走れないから、ゆっくり歩く主人公に歩を合わせて進んでいく二人がとても愛おしい。 そして、この作品に出てくる人、みんなが優しく温かい。 読んでいる間、穏やかで、温かい風が優しく吹いているみたいに心地よかったです。 お互いがお互いを思うからこそ切ない。だけど、諦めないで、全てを真っ直ぐに頑張るふたりをずっと応援し続けました。 どうか。 ふたりの進んできた道が、この先も長く長く、続いていきますように。

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★★★★★
2015/03/02 10:02
闇夜の先の夜明け

日々繰り返される罵倒と暴力。 夜明け前までのつかの間の休息、それをひとりで必死に耐えて過ごしていた。 そこで出会ったのは、ひとりの少年。 強くなる、て難しい。自分が弱ければ弱いほど。ただ、ひっそりと隠れて過ごすだけ。 けれど、弱さを認めるその先に、強さがある。 この世界は思っているほど優しくない。冷たく残酷だ。けれど、その中で、少ないけれど確実に優しい人はいる。 夢を見ることは、とても素敵でとても大切かもし けれど、そのためには今の非道なほどの現実を受け入れなければいけないのかもしれない。 逃げて自分を殺すことでしか踏ん張れなかった主人公が、彼との出会いで顔を上げる。その様子に手を差し伸べるのではなく、そばで、見守っていたい、そう思いました。 始まりでしかない。 けれど、始まらなければ終わりもない。 未読の方はぜひ、「僕等は彷徨う、愛を求めて」とあわせて読んでいただきたいです。

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★★★★★
2015/02/21 18:25
無数の星が示すもの

とある事情で、夢を諦めた主人公。 世界の広がりを感じたあの瞬間。キラキラ輝いていたあの日々。 失って、くすんだ空の中で必死に踏ん張っていた。 あの時自分は輝いていたのを、知っている。誰かの目に、映っていたことも、知っている。だからこそ、隠れていたかった。輝くその世界では、今の自分は惨めに思えるから。 なにかを見つけることは、とても難しい。けれど、間違いなく主人公はそれを手にしていた。だから、余計に失ったとき、もうなにも得られないんだと、知ってしまっている。 それでも、見つけることはできるんだと、教えてくれる人がいた。手放したものもあるけれど、だから、見つけられたものもある。 彼の示すその先には、無数の星がある。それをみつけることは、いつだって誰だって出来るんだと、読んでいる私にも、教えてくれました。

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★★★★★
2015/02/20 23:29
なんどでも、はじめよう

世界はなんて醜いんだろう。 世界はなんて綺麗なんだろう。 そんな正反対の思いを抱くふたりが出会い、ふたりの世界が少し、変わる。変わっていく。 散りばめられた素敵な言葉たちは、読んでいると私にもそっと寄り添ってくれるような安心感と暖かさがありました。 記憶をなくすのはとても、とても、さみしい。けれど、そばにいる、かわりに覚えていてくれる。かわりに記憶をつなげてくれる。そんな人がいる。 それはなんて幸せなことなんだろう。 何度だってはじめればいい。 何度だって、出会ってみせる。 彼女のその強さに、勇気をもらえました。 どうかこのふたりが、これからも、一瞬の記憶をつなげていてくれますように。 友人の「一度しか経験できない初めましてを何度もできる」その言葉がとても心に残りました。

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★★★★★
2015/02/18 15:33
あと1センチとあと一歩

仲の良い同期だと思っていた。 身長は主人公が1センチ上。でも仕事では彼のほうが一歩先。 ガサツで男勝りな主人公だけれど、恋には鈍感で奥手で弱虫。そんな彼女はとてもかわいらしかったです。 彼氏のいる主人公への思いを必死に隠し、それでも止められない思いに葛藤する彼に、「頑張れ」と「かわいそうに」が混ざる。 そして突然の行為によってずれ始める、同時に気づき始める気持ち。 もう!とカツを入れたくなるほどのジレジレな展開。 そしてタイトルの意味を知った瞬間、とても嬉しい気持ちになりました。 あと少しが届かない。 とてつもなく遠い距離にも思えるけれど、もしかしたら、誰より近い距離なのかもしれない。 寝てたら身長なんて、関係ないしね。 でも今まで苦労した分、近々彼には彼女の身長を飛び越えて欲しいなあ、なんて。

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★★★★★
2015/02/16 11:09
あきらめないキモチ

地味に過ごしていた主人公。 話し相手は友達とも言えない、秀才の女の子。 殻に閉じこもったように過ごしながら、ひっそりと、片思いの相手の背中を見つめる日々。 ところが。突然片思いの彼からの告白。 でも、それは……“罰ゲーム” 意地っ張りで、弱虫で、殻に閉じこもって逃げ出してばかりの主人公に、「ちょっと話しなよー!」とヤキモキしつつ、その姿こそが“好き”のキモチで、それでもめげずに一途な彼にニヤニヤしてしまったり。 個人的に友達の男の子の良くも悪くもはっきりした発言がとてもかわいらしく、心に残りました。 彼女を強くした一つに、彼の台詞は間違いなく含まれていて。踏み出したからこそ、見えるものもある。けれど、逃げ出したから、見えるものもある。 頑張れオンナノコ。 これから頑張る彼女と彼は、あきらめないキモチを持っている。 それって、無敵かもしれません。

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★★★★★
2015/02/16 04:30
恋する気持ち

大人の恋。けれど、子供の恋とはなんら変わらない、ということを改めて感じた作品。 そうだよね、でも、そういうもんだもんね、いいんだよね、と。 大人の方が平気なフリをしなくちゃいけない気がして、子供の時より大変だ。昔と抱く恋心にはなんら変わりないのに、 体から始まったから。 しかも、誘ったのはこっちだから。 傷心の彼につけ込んだのだから。 ドキドキ胸キュンの壁ドン。だけど、この作品の壁ドンには、大人の見栄と、意地。そして、与えられる壁ドンからは、安心感。 大人だって、色々悩んだり弱ったり、必死に平気なフリしたり、嫉妬で悔しくなって意地悪しちゃったり。些細なことで幸せになったり。ただ、キスが欲しくなるんだよね。 共感して、ほっこりと幸せをもらえました。

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★★★★★
2015/02/14 21:36
ハイカロリーだから、育って実ってゆく

付き合って長くなる彼がいる。 一緒に住んで、幸せなはず。好きなはず。なのに……どこか、沈んでいるような毎日。何かに飢える日々。 そこにあらわれたのは、無邪気でまっすぐな、年下の彼。 初めは割り切った関係だった。 彼の代わりにしているだけ。満たされない欲求を彼で補っているだけ。 そう思っていた。 けれど。 いつの間にか与えられていたハイカロリーな愛情。そして次第に気づかされる自分の気持ち。 弱虫で、頑なで、意地っ張りだった彼女が、次第に素直に強く変わっていく。 彼からのたっぷりな愛情に、どんどん変わる彼女と環境。それは、彼も同じで。 愛に正直に、与えて受けて、交わるって、なんて素敵なことなんだろう。 読後、素直にそんな気持ちにさせてもらいました。 ハイカロリーだって、彼からならば太ったって構わないよね。たくさんもらえる幸せを感じて笑う彼女が愛おしかったです。

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★★★★★
2014/12/26 16:07
ずるい、微熱

確かにずるい。課長が口にしたくなる気持ちがよくわかる。 読んでいる私まで、彼女のずるさにやられてしまいそうでした。 5000文字。されど5000文字。 彼女の思考の中に閉じ込められたような気持ちでした。 ふわふわ漂うお酒のニオイと、微かな熱。 そんな彼女に振り回されてしまう課長。 二人が可愛くて、だからこそドキドキして。 目が覚めた時、彼女はどんな反応をするのかなあと気になりました。 お酒が抜けた彼女。慌てたりするんだろうなあ。しどろもどろで最後の質問を口に出したりするのかなあ。 お酒が抜けたら、課長のほうが上手なのかもなあ。 なんて、読み終わって先を想像してしまうくらい。 とてもかわいく、心地いいドキドキに満たされました。

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★★★★★
2014/09/11 11:02
それぞれの成長

幼いころの初恋に囚われたままの少年。 淡い初恋を口に出来ないままの少女。 それぞれが、それぞれの思いを抱いている。 不満に思ったり反抗したり、それでも笑ってみせたり。 登場人物全員が、些細な、だけど大きな問題を抱えていて、泣いたり笑ったり。 一歩を踏み出すには、泣くことも必要なのかもしれない。それがあってやっと、終わりが訪れるのかもしれない。そしてそれは一人では出来ないのかもしれない。 そんなことを感じました。 くすんだ世界。そんな風に見えることもたくさんある。 だけど、空を見上げたら、そうでもない日もたくさんあるよね。 登場人物全てが愛おしい。 とてもとても、温かい作品でした。

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★★★★★
2014/09/08 10:15
この汚く残酷な世界と決別を

キレイな顔で、冷たい態度。 どこか影を感じる彼を見て不毛だと感じながらも恋に堕ちた。 そんな彼に、彼女ができたと聞いて、その恋の深さを知った。 それをきっかけに、一歩を踏み出した主人公。 近づくたびに、彼の闇を知る。 彼に近づいて、彼女の笑顔の意味を知る。 彼と彼女は、主人公と別世界で生きているのかと思うほど、汚く残酷な世界だった。 主人公の真っ直ぐな、素直な思い。それと対極のふたり。 読んでいてとてもそわそわし、ページを捲る手が止められなかった。 世界は時に残酷で、それは真実で、それと同時に、温かい世界も存在する。 確かに彼らは無力だった。だからこそ、終わりを求める、それに縋る。 幼い彼らの、必死の日々と思い。 読んでいて胸がキリキリと痛みました。 彼らの未来に暖かな人が必ずいる。そう、願います。

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★★★★★
2014/08/08 11:22
ネタバレ
出会えてよかった。

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