三角関係の物語は色々見て来ましたが、前半の孤児院の話が本当に素敵です！マイヤの無邪気さがアクセントになってて、特に優しさを"優しさ"と自覚していないステイルには感情移入しっぱなしでした。一番好きなキャラです。子供じみた約束を大人になっても信じているなんて、クールなようでいてロマンチックだなぁと。贈り物をした冬、素直に寂しがればいいのに、優しく大人な言葉でマイヤの背中を押す姿には言葉も出ませんでした。立派で格好良い。相手の気持ちを大切にしてきたステイルに続き、マイヤも自分より誰かのためにと成長していくのだろうと思っていたので、後半の失速していく展開には物足りなさを感じました。急にやって来て"一緒に暮らそう"と言うステイルに首を傾げずにはいられず、目の前で具合を悪くするマイヤの心配ではなくそっちを優先するのか…と。もう少し段階を踏んで欲しかったです。それでも素敵な作品に変わりないのですが。

物語の世界の中へと引き込む描写の細やかさ、登場人物それぞれの容姿や服装、心情の表現力の高さに圧倒されます。

二人への気持ちに揺らぎながらも、落ち着いて自分の気持ちと向き合うマイアを穏やかな気持ちで見守り、読み進めることができました。

異国の空気感に溢れた物語、是非読んでみてください。