伯爵令嬢としてこの世に生を受けたとは言え、しかしそこはまだ18歳の好奇心旺盛な女の子。家令や侍女の制止に耳も貸さずに街へ飛び出していく様子が、しかもその目的が買い食いという所に、現代で言う女子高生と全く同じだな~……なんて、読中ずっと微笑ましく眺めていました。西洋貴族社会の中で、当然ながらヒロインの嫁ぎ先も家柄等の問題もあって自身の意のままにはいかない悲しい事情もあるのですが、しかし完読してから初めて気が付きました。登場人物達が全て心の温かい人達ばかりだと。おてんば少女を取り巻く彼等の深い愛情こそがこの作品の見所だと思いました。天晴れ。