文章に安定感があり、ひじょうにうまい作品だった。
ネコにちなんだ名前のミイとミケ。
学生の女の子ならではのかわいい恋と、物語の雰囲気がマッチしている。
短いページのなかに見せ場があり山場があるが、決してあわただしくなく、むしろのんびりと自由気ままに進む物語のはこびは、ネコそのもの。
作者の技術力なのだろう。
むずかしい言葉もいっさいでてこない単語のセレクトは秀逸だ。
本当は彼女をとっかえひっかえするようなミケは、女性から見れば「女の敵」のように映るのだろうが、ぜんぜんそう見えない。むしろ一途な男の子とさえ感じてしまう。
わきのキャラもふくめ悪者のでてこないこういう作品は、読みはじめから読み終わるまで、やさしい気持ちでいられる。
この物語を読んで、なんだか恋がしたくなった。