ママと呼ばれたい ~素敵上司の悲しすぎる過去~
プロローグ
ああ、頭が痛い。胸がムカムカする。喉が渇いた……

昨夜はちょっとばかり飲み過ぎちゃったみたい。二日酔いになるほど飲んだのっていつ以来だろう。憶えてないや。憶えていないと言えば……昨夜の事もあまり記憶がない。


私、どうやって帰って来たんだろう……


昨夜は広告部で新藤さんの歓迎会をした。一次会で早々に帰ろうとした新藤さんを私は捕まえ、半ば無理やり二次会へ行った事までは憶えている。6~7人で行ったのだけど、制作チームの主任さんが川田君に絡んで泣き出したりして、あれにはびっくりしたなあ。


その後はどうしたっけ? 誰かとどこかへ行ったような気がするけど、誰と行ったんだっけなあ。

ああ、そうだ。新藤さんとだ。私は新藤さんとどこかへ行ったと思う。どこへ行ったのかは憶えていないけど……


ふと、顔を埋めたフカフカの枕から、嗅ぎ慣れない匂いがするのを私は感じた。それは柑橘系で、たぶん男物のシャンプーかリンスか、あるいはアフターシェーブローションか何かで……


お、男物!?


目をパチンと開き、体を起こしてキョロキョロと周囲を見渡せば、目に映ったのは全く見覚えのない部屋の装いなわけで……


私……やっちゃった?

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